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2018年11月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像11月

剥げさうな季寄せの表紙冬隣

季寄せの背繕ふことも冬支度

鬼がゐてうはばみがゐて濁酒かな

鳴く鹿に小糠雨降る宵も来ぬ

もみぢ且つ散りゐて祇王祇女の墓

11月1は淋しき数字かな

のゝ宮の竹あをあをと神の留守

一対の白狐に視られ神の留守

鮑入り和風バーガー文化の日

冬帝は比叡より京を窺ひて

恋人の名前はふゆ子冬よ来よ

冬支度せぬは小便小僧のみ

しろがねの夜雨しろがねの芒かな

うかうかと小春日和の暮れかゝり

紙ヒコーキの宙返り小春空

蝶一つしまひ忘れし小春風

一葉の喪中欠礼冬に入る

ひとゝせや冬の服より一名刺

落葉宿たゞ昏々と睡りたく

初しぐれ八ツ橋を焼く香りして

色町に抜け路地いくつ小夜時雨

しぐるゝやむかし揚屋の細格子

三条に大橋小橋しぐれ過ぐ

女傘をとこが差して朝時雨

忠興とガラシャのねむる冬紅葉

千年の古都の川音浮寝鳥

冬の蝶供華より供華へ翔びにけり

冬の蝿存ふるとは咎に似て

消しゴムで消せば済むこと冬の虫

西陣の機織る音や日短

たこ焼屋蛸を刻みて日短

レンズに土星蒼かりし湯冷めかな

ひきしほの美しかりし湯冷めかな

大原女の真白き脚絆冬に入る

蟷螂の首を傾げて枯れてをり

枯蟷螂なほ正眼に構へけり

この路のみるみる銀杏落葉かな

天井を電車の走るおでん酒

もう一人詰めれば坐れおでん酒

幸福の木にうすぼこり冬館

日向ぼこおなじ日向を鳩あるく

運命のせゐにしてゐるおでん酒

祖母静江享年三十しぐれけり

京を見て鳥の眼となる屏風かな

洛中は花の盛の屏風かな

湯豆腐や玻璃にけぶれる嵐山

マキノより冬めいて来ぬ湖西線

室花か造花か分かず精神科

過去帳に水子がひとり霙れけり

狐火も座敷わらしもダムの底

冬霧の底ひに響む五番街

暮れてより裏手にまはる虎落笛

本能寺址の暗闇もがり笛

なんぴとが始めに食ひし海鼠かな

外套が臭ふ世に狎れ人に狎れ

あすのため冬の怒濤をいくつも見る

北風や貝殻なべて深手負ふ

焼鳥や資本論など聞かされて

佇つひとに四条木屋町しぐれけり

        


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