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2019年2月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像2月

切結ぶ竹の音聴く風二月

豆打や闇がたぢろぐ闇の中

やらはれし鬼見失ふ人の渦

柊挿して鬼も来ず人も来ず

北野より平野へまゐる厄落し

撫で牛は石のつめたさ梅白し

しら梅のあすにほころぶ気色かな

立春のなかなか立たぬ卵かな

がうがうと篁鳴らし春立ちぬ

流氷の天も動いてをりにけり

鞍馬路はけふも雪積む木の芽和

受験子の眼中になくすれちがふ

春雪霏々と鬼はまだそこにをる

島原の大門くゞる捨仔猫

眼が合ひて忽ち有縁捨仔猫

仏飯を喰ふ捨仔猫喰へばよし

風光るまだ傷だらけなる山河

春浅き雨のひそひそ降りにけり

リモコンがいくつもあつて春の風邪

ひそかなる逢瀬の後の春の風邪

いくさ経し不死身の人の春の風邪

恋猫の鈴の高鳴る真くらがり

屋根づたひ何処へも行けて恋の猫

春はあけぼの珈琲はアメリカン

あをあをと冴返る空ありにけり

佐保姫の覚めて奏づる深山川

春泥の径の果てなる縁切寺

春燈やをどる姿の京人形

をりからに三味の音漏るゝ春燈

春燈のともりて昏らき先斗町

抱擁のあなたに海市崩れ初む

龍馬の目切れ長にして沖霞む

かざぐるま恋とは風のやうなもの

風車不意にシャネルの香り来て

風船が逃げるシンデレラ城の上

山河けふ力抜きたる雨水かな

春を寝て未生以前を旅してをり

亡き数のひとを娶りし春の夢

白梅に醒め紅梅に惚けたる

固まつて其処が都や蝌蚪の国

蝌蚪に手が出てもう魚にはなれぬ

初午やすゞめ焼く香の裏参道

白杖は道たがへざり百千鳥

柩窓開いておきぬ百千鳥

料峭や紙の葬花の紙の音

サイパンに戦死と墓銘忘れ霜

水筒に小さな磁石鳥雲に

鳥雲に河は苦しく蛇行せり

少年の日のローマ字日記鳥雲に

鳥雲に時差の向うの子をおもふ

龍馬遭難之地とのみ春疾風

順々に死ぬと限らず春疾風

春の艸紙ヒコーキの不時着す

春装のひと鏡より出でゆきし

春雷や地下街にまた地下がある

春光のさゝ波なせる千枚田

ブタ落ちて黄河の春を泳ぎけり

春の夜のすぐに泣くひと泣かしけり

寝ねがてに須磨之巻など夜半の春

春の夜を更かす源氏のものがたり

東風さむき白梅町といふところ

春眠の空を游いでゐたりけり

雨だれの音の楽となる朝寝かな

湯上りのかほを向けたる春満月

もう誰も踏まざる踏絵玻璃囲ひ

万年を生きねばならず亀鳴けり

春寒やつまづきて知る己が齢

淡雪や更けてはなやぐ祇園町


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