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2019年5月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像5月

平成の代を見送れる接木かな

平成のをはりを若葉雨はげし

春眠の覚めてけふより令和とや

代替りにかゝはりもなく花は葉に

なほ動く明治の時計花は葉に

葉桜やサンドウィッチですます昼

イタリアの国旗お洒落や花は葉に

三毛猫が黒猫産んで聖五月

カンバスはまだ白きまゝ夏が来る

渋滞のたゞなか憲法記念日よ

まつすぐに大人を見る眸こどもの日

金魚死す或る日誰かの身代りに

薫風も九十九折なす鞍馬山

木の根道山の蟻にはかなはざる

パルテノン神殿さして蟻の列

夜の蟻這ひて白布を哀しうす

大寺に大蟻の国ありにけり

見てしまひぬ毛虫の一つ二つ百

美しき距離ハンカチのなほ振られ

夏祭をとこに風の立ちにけり

亡骸に蟻群れてゐてしづかなり

ハーバーに風を見てゐるサングラス

喪疲れは頬に出でゐてサングラス

清水の舞台より翔つ夏の蝶

一雨の予感に揺るゝ夏のれん

日照雨(そばへ)には日傘をさして先斗町

水打つて抜かりなかりぬ祇園町

水打つて暮色とゝのふ祇園町

懸葵機嫌ななめの牛の啼く

飾られて葵祭の馬となる

かげろふの中へ去にゆく賀茂祭

コクリコの碑に触れてゆく夏の蝶

嶮にして泉へつゞくけもの道

蕗を煮て町家の奥の暗きかな

病床の目に蝸虫の迅さかな

とある日の仏足石に蜥蜴の尾

刑務所のほとりに佇てる白日傘

風聞の蛇がだんだん大きくなる

短夜や忘れてゆきし耳飾り

メロン切る女将のけふの機嫌かな

いつ来ても誰かたたずむ未草

美しき独断薔薇は崩れけり

軋みしは己れの五体籐寝椅子

掻い抱けば仄と螢のにほひせり

ほうたるの今宵をとことをんなかな

青松の白砂を借りて蟻地獄

山蟻の何より山を悉る歩み

水更へて金魚に鳴らすモーツァルト

分け入つて蚋に喰はるゝ山頭火

マネキンの眸みづいろ夏帽子

たかむなの早やも長髄彦の丈

永らへよ『ゲバラ日記』のきららむし

したたかに浮世草子のきららかな

臨終ののち風鈴の鳴つてをり

化粧ふれば舞妓は暑さ忘じけり

夕景のいつしか夜景ビアホール

掛香や灯りて昏き先斗町

香水や未だ源氏名より知らず

仏壇の水に泛く火蛾死んでゐず


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