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2019年6月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像6月

現し世をいつしかはづれ螢舟

捕らへては放つ螢や思ひ川

明易のまなこのテストパタンかな

百の豚百の鼻ある溽暑かな

噴水の翼たゝみし星夜かな

東山暮れても青き麦酒かな

七曜の早くもめぐる四葩かな

うつぶせに臥てゐる女明易し

朝焼褪せ高層街衢起動する

鮎食うて六腑に香る貴船川

右源太の屋号もゆかし貴船川床

忘れゐし魚と眼の合ふ冷蔵庫

片蔭もゆかしき京の町家筋

六月の樟の香の雨降りにけり

雨降れば雨を愉しむ籠枕

ハーモニカつたなく鳴りて緑の夜

サントロペ水着濡らさぬ夫人ゐて

廻転扉シャネル五番の香もまはる

街娼の眸のあをあをと白夜かな

父の日の機嫌の悪きゴリラかな

父の日の父さりげなく旅にあり

百里来て暫しの思案梅雨の蝶

水槽の魚のみうごき昼寝覚

網戸よりわたしの不在わが覗く

横浜の夜景を游ぐ海月かな

新宿を海と思へばくらげかな

人類の滅びし星のゴキカブリ

人類の脳重すぎる黴雨かな

この下闇を祇王寺と云ふべかり

法然院さまの下闇長居して

鑑真の聞きおはします梅雨の闇

学校に七不思議あり五月闇

キームンの香りの向う梅雨の街

ハチ公はとはの忠犬梅雨滂沱

淡墨に暮れてうつくし梅雨の京

空梅雨か首を反らせる陶の亀

蕗を煮て町家の奥の暗きかな

簾を垂れて祇園新橋灯しごろ

父の死後艶の失せたる竹夫人

時にジャズたゞの騒音大西日

夕立あとなかなか香る東京都

梅雨闇や壜の中なる日本丸

気がねなく余生をつかふ端居かな

涼しさの譬へば窓のある封書

回送の涼の一塊よぎりけり

みづうみの夜雨すがしき洗鯉

女人より泊めぬ禅林沙羅の花

ヤマトンチュと呼ばれ泡盛ふるまはれ

泡盛にたくましきかな島野菜

けさの卵に黄身二つ沖縄忌

容赦なく急ぎ去るもの蚊遣香

華燭とふ一つの別れ花氷

千人の千のまなざし花氷

極刑の一つとおもふ花氷

驟雨過ぐ箸の先なる箸休め

毘沙門の使ひの百足殺めけり

決めかぬる明日シャワーを全開す

故郷の先づはおはぐろとんぼかな

夜店の灯美しき飴買ひにけり

鉛筆に木のかをりしてついりかな

夕立を過ごす碧眼本能寺

梅雨晴のイノダコーヒのテラス席

梅雨晴や錦に香る走りもの

小面のゑみ恐ろしき五月闇

香水を更へたるひとをいぶかしみ

簡単服ひとは首筋より老けて

母逝きて父の端居の永くなり


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