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2019年7月の俳句
田畑益弘 俳句新作


新着情報 画像7月

頓堀に男前なる夏の月

夏月やふわりと豆腐沈みたる

熱帯夜草木もねむる丑三か

金閣の金を見すぎし霍乱か

昼寝覚ガリレオ温度計ふわり

緑蔭や二人ときどきものを言ふ

片蔭や昭和のにほふ古本屋

御来光待つ二杯目の濃き珈琲

鱧食はなけふに始まる鱧祭

室町も二階囃子の夜風かな

また太き雨が降るなり鉾祭

あぢさゐや傘相ふれて相しらず

自転車で行けるだけ行き蛇捨つる

いちづに空青く背泳孤独なり

プール蒼く静かに世界記録生む

無辜の民無辜のくちなは搏ちにけり

蛇這ひて毫も汚れぬ身をもてり

蝿叩一つ命を消しにけり

風鈴のとりわけ澄める音を買ひぬ

風死して若者一人帰り来ず

手花火の向う三軒ひとりつ子

遠花火あなたは別のことおもふ

父母の死をさやかにしたる風鈴よ

喪の脇で少しだけ泣くサングラス

みんな不幸で西日のバスに揺られをり

部屋すべて夏の灯ともし嗚咽漏る

揚羽蝶母の棺の花に来よ

詫びながら籠の揚羽を逃がしけり

頭の中を真つ白にして蝉が鳴く

生きて死ぬそれだけのこと蝉時雨

ハイヒールに足踏まれたる巴里祭

情死とふ古き死に方誘蛾灯

誘蛾灯ふるさとの灯の一つなり

けふは未だ宵々山の嬉しさよ

宵山をぬければ洛中真くらがり

肩車され宵山の空をゆく

清正の鎧も屏風祭かな

鉾廻す男のきほひ佳かりける

曝書して昭和時代を旅してをり

風入や古き写真に泣けてきて

夏痩て火の酒いよゝ美味かりし

真向ひに如意ヶ岳据ゑ夏座敷

けふの蝉かの日の蝉や忌を修す

らふそくの火が一つ百物語

胆試しすれちがひしは誰ならん

炎天へふらんすの水買ひにゆく

たゞ灼けて芹沢鴨の小さき墓

母の眸に少しく痩せて帰省かな

日盛りの御町内ちふしゞまかな

炎昼の未来が歪む道路鏡

炎昼の暗きに光る溶接面

避暑の宿『長野日報』など読んで

避暑の宿ピンポンばかりしてゐたる

無人島ひとをゆるして夏旺ん

眼下夏海あをあをと魔が誘ふ

けふの蝉かの日の蝉や忌を修す

夏痩て火の酒いよゝ美味かりし

骨相といふ貌のある大暑かな

炎天へふらんすの水買ひにゆく

たゞ灼けて芹沢鴨の小さき墓

日盛りの御町内ちふしゞまかな

炎昼の未来が歪む道路鏡

座の釜に蓋なき劫暑かな

炎昼の暗きに光る溶接面

鱧月も後祭とぞなりにけり

打水や一見さまは御ことわり

高瀬川あくまで浅し灯涼し

白日傘楼蘭城址に忘れあり

チャウシェスク倒しし弾痕灼けてゐし

猿山にひと騒ぎあり旱空

和を以つて尊ぶ蟻の国ならん

おほらかな闇も美し遠花火

夜の秋の星空浴に君の星

水バーに水を味はふ夜の秋  


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